ていねいのレシピ

大人の食の楽しみ方 薬味にこだわる

風味、辛味、食感、香り、彩りー。
とっておきの薬味があれば、いつもの夏料理がぐっと引き立ちます。

◆薬味とは

そうめんや冷奴など、さっぱりとした夏の和食を味わい深くするには薬味が欠かせません。しかし、薬味は料理の美味しさを引き立てるだけのものではないのです。

そもそも「薬味」とは東洋医学の用語で、甘・苦・酸・辛・塩の五味を体質に応じて取り入れていくことを指します。食材の持つ効能を上手に取り入れるという考え方が形になったのが、現代の薬味です。

たとえば、ねぎは殺菌、発汗作用、疲労回復、風邪予防の効果があります。生姜には血行促進や胃腸の働きを促進する効果があり、ミョウガには冷え性やむくみの改善、体を適度に冷やす効果もあります。

さらに薬味は食材の防腐や臭みを消すのにも効果的で、食べ物が傷みやすい暑い夏に欠かせません。

体を整え、食材を引き立てる薬味を、積極的に取り入れてみましょう。


◆薬味をていねいに味わい尽くす

薬味は今や毎日の食卓に欠かせない存在。そんな薬味も専用の道具を使えばさらに一つ上の味わいに仕立てることができます。

大根を竹製の鬼おろしでおろしてみましょう。大きな歯でおろすと、大根おろしに適度な水分と空気が含まれ、ザクザクとふわっとした食感が同時に味わえ、強い辛味も抑えられます。

ワサビは、鮫皮のおろし器ですり下ろしましょう。辛味がグッと引き立ち、混じり気のないワサビ本来の香りが立ちます。

すり下ろした薬味をむだなく使い切るには「薬味寄せ」が最適。すり下ろした薬味や、すり鉢にたまった食材を掻き寄せて集めるブラシ状の道具です。伝統産業の竹製品、茶筅の産地である奈良県生駒市で作られている木屋の薬味寄せは、傷などで製品にならなかった茶筅を利用した名品。職人が丹精込めて作り上げた繊細な先端で、薬味を上品に寄せる美しい道具です。


◆ひと工夫で毎日薬味生活

薬味をもっと手軽に毎日の食事に取り入れるために、ちょっとした工夫をしてみてはいかがでしょう。

たとえば1種類だけでなく、いくつかの薬味を組み合わせて「合わせ薬味」を作っておくと、豊かな風味をいつでも味わえます。大葉・万能ネギ・生姜・ミョウガ・スプラウトなどを細かく切って水にさらし、しっかりと水切りすればできあがり。

密封容器で3日ほど冷蔵保存できます。そこに味噌を加えたら「薬味味噌」に。ご飯にのっけたり、味噌汁にそのまま使ったり、万能調味料としても幅広く使えます。


◆夏の料理に合う薬味アレンジ

さらに薬味を美味しく味わうために、いつもと違うアレンジや組み合わせはいかがですか。

ひとつ目は山形県の郷土料理である「だし」。ミョウガ・大葉・生姜といった王道の薬味に、4〜5ミリ角に切ったなす・きゅうり・オクラといった夏野菜と、粘りの出る昆布を細切りにして加えます。ここに出汁醤油を加えて馴染ませ、冷蔵庫で1時間ほど漬ければ完成です。

だしはご飯や冷奴にかけていただくのはもちろん、マグロのぶつ切りと合わせてもいいし、調味料としてパスタに絡めても美味しいです。

もうひとつは、和風タルタルソース。柴漬・たくあん・らっきょうなどの漬物と、大葉やミョウガを細かく切ってマヨネーズに加え、肉や魚のソテーやフライに付け合わせます。漬物の酸味が絶妙なアクセントになって、メインディッシュの濃厚な味わいを引き立ててくれます。

ただのわき役じゃもったいない。ひと手間かけて、個性引き立つ自分流の薬味を楽しんでみませんか。