ていねいのレシピ

新年をきちんと迎える ていねいに正月事始め

何かと気ぜわしい年の暮れ、追われるように新年を迎える人も多いでしょう。
少しだけ心の余裕を持って、伝統行事を楽しみながらお正月の準備をしてみませんか。

◆年末の伝統行事「正月事始め」

お正月の準備はいつから始めるのが良いのでしょうか。古来より日本では「正月事始め」という、準備を始める日を定めていました。それが「鬼宿日」である12月13日です。鬼宿日は鬼が宿にいて出歩かないので、結婚以外はうまくいく吉日とされ、年神様を迎えるのにもふさわしい日だと考えられていました。

正月事始めとして、一年の汚れを払い落とす「煤払い(すすはらい)」をして、門松にする松や、おせちを調理するための薪を採る「松迎え」を行いました。この2つが済むと、年神様を迎える準備が整います。現代であれば、大掃除とお正月の飾り付けでしょうか。

◆おしゃれな正月飾りを作ろう

松迎えをするという気持ちで、お正月飾りを作ってみましょう。本格的な門松は難しいかもしれませんが、コンパクトなしめ飾りや花飾りであれば、スタイルをアレンジしながら楽しんで作ることができます。


たとえば、わらや紙紐、麻紐などをツイストし、リース状に丸め、南天や松、椿など、新春を感じさせるナチュラルアイテムをあしらえば、しめ飾りの出来上がり。水引や花を使ったものも、華やかでおめでたい雰囲気を醸し出せます。スワッグ風にするのもモダンでスタイリッシュ。しめ飾りを玄関に飾ると、家に不浄のものが入るのを避け、清められた家に年神様を招くことができるそうです。

お正月の花飾りも、縁起の良い草花を選んで組み合わせましょう。不老長寿の妙薬ともいわれる菊や、春を告げる梅。生命力や長寿を象徴する松や竹、「難を転じて福となす」に通じる南天は鮮やかな赤い実も魅力です。

◆テーブルコーディネートもお正月仕様に

食卓を囲んで家族や親戚が集まるお正月には、テーブルコーディネートも、お正月らしく楽しみたいですよね。おせち料理を盛り付けるなら重箱が定番ですが、漆器の折敷や半月盆を使うのも素敵。重箱やお皿の下に敷くだけでなく、皿として使えば、モダンな雰囲気にまとまります。料理を少しずつ折敷などに取り分けたワンプレートおせちもおしゃれ。食べやすさもうれしいポイントです。

箸置きなどの小物なら手作りするのも素敵ですね。気に入った色の和紙で鶴をアレンジした形に折れば、かわいらしい箸置きの出来上がり。紅白色や金色を取り入れると、お正月気分が高まります。

◆大人のたしなみ「お年賀」

年が変わったら、少しあらたまった気持ちでお年賀を送るのも、大人のたしなみです。お年賀は1月1日を避けて、松の内である1月7日までに渡すのが良いとされます。このご時世、お年賀を直接渡すのは難しいかもしれませんが、実家の両親、お世話になった親戚や勤め先の人などに送ってみませんか。

贈り物の掛け紙はのし付きで、水引は蝶結びにします。ちなみに結婚は「何度も繰り返したくないお祝い」なので、結び切りにすることも覚えておくと便利です。表書きは「お年賀」もしくは「お年始」とします。

煤払い、松迎え、そしてお年賀の支度が済んだら、あとは新年を迎えるだけ。久しぶりに着物を着て、いつものお正月よりていねいに気持ちを整えて過ごすのもいいですね。混沌としたこの1年に別れを告げ、家族や友人、お世話になった人々の幸せと健康を祈りながら、新年を祝いましょう。