ていねいのレシピ

秋ならではの美味しさ 秋茶をていねいに味わう

日本茶にも紅茶にも、秋特有の味わいがあるのを知っていますか。
今しか味わえないお茶をていねいに淹れて、ほっこり秋の夜長を過ごしましょう。

◆秋摘み茶、熟成茶の魅力

新茶といえば春をイメージしますが、秋にも“新茶”と呼ばれるお茶があるのです。春に新芽を摘んでから、二番茶、三番茶と芽を摘んで、9月末に今年最後の芽を摘み、それを「秋摘み茶」と呼びます。秋新茶とも呼ばれ、あっさりした口当たりとまろやかな風味が特徴です。もうひとつ、秋ならではのお茶が「熟成茶」。春の新茶を低温で熟成させたものが、秋に蔵出しされます。「蔵出し茶」「口切り茶」とも呼ばれる、マイルドな味わいのお茶です。

一方、紅茶の世界でも、秋のお茶はひときわ風味高いと愛飲されています。北インドの紅茶の産地で10月から11月に摘まれるお茶は「オータムナル」と呼ばれ、なかでもダージリンのオータムナルはやさしい甘味と香ばしさで人気の銘茶です。一般的なダージリンとは違い、赤茶色の美しい水色(すいしょく)も特徴的。まるでほうじ茶のような、芳醇でまろやかな飲み口に、ファンが多いのも納得です。秋の夜長にゆっくりと味わいたい滋味あふれる味わいです。

◆今しか飲めない秋限定のお茶

お茶のメーカー・ブランドではこの時期、こだわりの秋摘み茶や秋ならではのフレーバーを加えた商品が発売されます。リンゴや杏の香りを加えた紅茶や、茶葉に本物の紅葉や金木犀の花びらを入れたもの、緑茶にドライマロンを加えた楽しい商品も。秋限定のラ・フランスやマロン風味の紅茶は、コクがあってミルクティーにぴったりです。

こうした秋の限定商品は、今の季節にしか味わえない貴重な物。自分で味わうのはもちろん、ギフトにも最適なので、秋を感じさせるセンスのいい贈り物としても重宝しそうです。

◆秋茶の入れ方、飲み方のコツ

美味しくお茶をいただくために、いつもよりていねいにお茶を淹れてみましょう。お茶は種類によって、お湯の温度を調整することが大切です。普段使いの煎茶や番茶、ほうじ茶、紅茶は、沸騰させたお湯をそのまま使いましょう。上級の煎茶は80℃、玉露は60℃が適温なので、沸かしたお湯を少し冷ましてから、急須に入れます。

その後、煎茶などでは40秒から1分、玉露では2分、紅茶は2分半から4分ほどおいて茶葉が開くのを待ちます。濃さが均等になるように、複数の湯飲みやティーカップに少しずつ注ぎ、すべてを注ぎ切りましょう。おいしさを逃さないように、最後の1滴まで注ぎ切るのがポイントです。

◆秋の茶菓子と楽しむペアリング

美味しいお茶が入ったら、風味を引き立てるお菓子を合わせたくなります。秋はさつまいもや栗、南瓜などこっくりした甘みのある食材が豊富。くるみ やリンゴ、柿といった、食感や香りの豊かな食べ物も、お茶との相性が抜群です。

番茶やほうじ茶に合わせて素材のおいしさを味わうなら栗きんとん、濃厚な旨味と甘みに栗の風味があふれるモンブランはストレートティーにぴったりです。くるみやナッツがふんだんに使われた焼き菓子や、洋梨・リンゴのタルトはミルクティーのお供に。柿を使った羊羹など、コックリ甘くねっとりとした舌触りが楽しい茶菓子は、ぜひ濃いめの煎茶に合わせてみましょう。

こだわりの秋茶に秋味のお菓子を用意したら、ていねいで贅沢なティータイムの始まりです。